長編第三話 前編

今回は前後編です。別に意図した訳ではない!
魔法少女リリカルなのは×舞‐乙HIME

 ~THE HARMONIUM SONG~

第三話 暗躍する者達 前編

ミッドチルダ首都クラナガン。
この大都会には海に面した所がありそこには貨物船などを停泊させる港がある。
そこの沖合いに何十という飛行物体が周りにを飛び回る巨大貨物船があった。

ーークラナガンのとある港ーー

「うっわ~。でっか~~~~い!」
「たしかに…ちょっと大きいわね……」
港からこれから自分達が突入する貨物船を見て圧倒されるスバルとティアナ。
「さて、作戦を確認するぞ新人共」
その二人の背中にヘリのパイロットのヴァイス・グランセニックの声がかかった。
「いいか?まず隊長さん達が先にガジェットの大群を相手にする、その隙に俺がお前らをあの貨物船まで運ぶ、それまではデバイスは起動するな、鉄屑に見つかる恐れがある。中に入ったら敵の殲滅。他に質問はあるか?」
「はい」
「え~と、お前は…アリンコ?」
「アリカです!ユ・メ・ミ・ヤ・ア・リ・カ!!」
「ああ、ワリィ。で、何だ?」
「ヘリの中にいるシズルさんは何をするんですか?」
「ああ、ヴィオーラ監査官補佐は何かあった時のために待機している。他には?」
「はい」
「なんだ?ティアナ」
「ガジェットの主だった位置は?」
「全部動力炉にいるみてぇだ」
「動力炉?貨物室じゃなくてですか?」
ヴァイスの言葉にティアナは疑問の声をあげた。
ガジェットドローンはロストロギア、レリックを狙って出現する。
現にこれまでもレリック関連以外でガジェットが出現した事はない。
そのため今回の事件を聞いた時、ティアナは誰かが密入しようと貨物船にレリックを利用し、それをガジェットが狙ったものと思ったのだが。
「ああ、だから敵に見つからない様に行くんだ。この魔力炉はけっこう強力で、爆発したら大惨事だ。今はどういう訳か停止してるけどな」
「つまり、ガジェットが暴走させる危険があるという事ですね」
ヴァイスの言葉にニナが答えた。
「ああ、そうだが…ニナだったか?もう少し愛想良く返事できね~のか?」
「そうだよニナちゃん。つん」
ヴァイスの言葉に頷くアリカはニナの背中をつついた。
その瞬間。
「ひゃん!」
と、色気のある悲鳴をニナはあげた。
「ほほう。中々いい声出すじゃねえか。アリカ、よくやった」
思わずにやけるヴァイス。
「えへへ~」
褒められて照れるアリカ。
その頭が、ガシッと掴まれた。
「ア~リ~カ~!!」
ニナの呪詛の様な声が辺りに響いた。
「あ…ニナちゃん……」
顔を引きつらせるアリカ。
その顎に、ニナの蹴りが炸裂した。
「まったく…なにやって……」
五メートルは吹っ飛んでいくアリカを見ながら呆れた声を出すティアナは突然後ろを振り向き、自分に迫る手を掴んだ。
「スバル……この手は?」
「え…やーちょっとスキンシップを……」
倒れているアリカの横に、スバルが飛んできたのは次の瞬間だった。

ーー貨物船・甲板ーー

なのは達が飛行戦型ガジェットⅡをひきつけている間にヴァイスの操縦するヘリで無事甲板に降り立つフォワードメンバー。
ここまでは作戦通り。
「…本当にいないわね、ガジェット」
「うん。降りた瞬間、どどどって来ると思ってたんだけど」
「やっぱり動力室にしかいないってのはマジみたいね」
ニナ、スバル、ティアナの順に降りた感想を言う。
他の面々は油断無く辺りを見回していた。
ただ一人アリカだけは、
「うわ~、本当に着いた!」
と、はしゃいでいた。
「ちょっとアリカさん。貴女緊張感ってものが無いの?」
そんなアリカにトモエは呆れと苛立ちが含まれた声を出した。
「だってあたし、へるこぷた…だったけ?なんて空を飛べるものがあるなんて初めて知ったんだもん」
「初めて?」
アリカの言葉に目を丸くするスバル。
「うん」
「ねえ、アリカ。一体今までどこに住んでたの?」
「ガレリア」
「聞き覚えないな……キャロは?」
「え?ないです。エリオ君は?」
「僕も聞いた事ないなぁ…エルスティンさんは?」
「わたしもないんだよね……トモエち」
「ないわよ」
「……………じゃあ、ニナちゃんは?」
「ある訳ないでしょ。まったく、そういった雑談は任務が片付いてからにしなさい」
そう素っ気なく言うと、ニナは船内に入るための扉に近づき、
「どう?」
扉前に既いるティアナに話し掛けた。
「鍵が掛かってるわ。電子ロックじゃなくてシリンダータイプ……やっかいね」
電子ロックならデバイス中のデータを解析して開ける事もできるが、シリンダータイプでは合鍵がないならこじ開けるしかない。
「ぶっ壊すしかないわね」
「わぁお。ティアてば、かっげき」
「うるさいわよ、馬鹿スバル。じゃ、行くわよ」
そう言ってカード型(待機状態)のクロスミラージュを取り出すティアナ。
「ちょっと待って、今デバイスを起動したらせっかくここまで見つからずに来た意味がないわ」
その行動を止めたのはニナだった。
「そうは言っても、隊長達がひきつけてくれてるとはいえ、ぐずぐずしてたら上のガジェットに見つかるわ」
「まあちょっと待ってなさい」
そう言うと、ニナは扉の前でしゃがみこんだ。
手にはどこから取り出したのか、ドライバーと針金をもっと。
しばらくするとーーカチャ。
「開いたわ」
軽快な音の後、ニナはそう言って振り向いた。
「「「「「「「…………………」」」」」」」
「なによ……?」
一同のどこか白い目に、ニナは怪訝な顔をした。
「ニナちゃん…」
「まさか…ニナちゃんが……」
アリカとエルスの言葉にニナはようやく場の空気の正体を知った。
「ちょ!違うわよ!!小さい頃叩き込まれて……」
「ウォン少佐に?」
「エルス……後で二人きりで話ししましょうか」
どす黒いオーラを静かにまとうニナの言葉にエルスは涙を流しながら首をぶんぶんと振った。
もちろん横に。
「そ……その話はまた後でするとして、今は任務優先よ」
とりあえず話題を戻すティアナ。
賢明な判断である。

ーー機動六課・作戦司令室ーー
「どんな具合だ?」
いくつもの大きな画面が広がる室内で、ナツキは隣で座ってりるはやてに問い掛けた。
「今んとこ問題はないみたいですね」
「ふむ。ところで、そちらの……」
ナツキははやてを挟んで隣に立つ眼鏡を掛けた青年を見た。
「はい。部隊長補佐のグリフィス・ロウランです」
「ロウラン?ああ、レティ提督のご子息か…どうりで見覚えがあると……」
「あれ?」
ナツキが世間話モードに突入しようとした時、デバイス作成・整備及び通信班の主任を務めるシャーリーが声をあげた。
「どうした?」
何事かと声をあげるグリフィス。
はやてとナツキも思わず身構える。
「動力室のガジェットの反応が…」
「なんだ?増えたとでも言う気か?」
ナツキの言葉に首を縦に振るシャーリー。
「いえ、逆です。反応が消えていきます。あ、また」

ーー貨物船内・貨物室の扉前ーー

ーーカチャカチャ、カチャリ
「開いたわ」
そう言って一同の所に戻るニナに、
「ずいぶんと簡単に開けるわね」
ティアナは関心と呆れの含んだ声で話し掛けた。
「まさか役にたつ日が来るとは思わなかったけど…皮肉にもきてしまったわ」
「ニナ?」
ティアナは一瞬ニナの表情に陰りが見えた気がした。
「あれ?ニナちゃん、アリカちゃんとナカジマ二等陸士は?」
エルスの言葉に周りを見る二人。
「あれ?どこいったんだろう?あのお気楽コンビ」
「フリード知らない?」
キャロが自分の頭の上に乗っている小竜、フリードリッヒに聞いてみた。
て、いたのかチビ竜。
フリードは、
「きゅ~」
と一声鳴いて、先程ニナが開けた貨物室の扉の方を翼で指した。
扉は何故か半開きだった。
「「って自由か~~~~~~い!!!!」」
ニナとティアナは思わず叫んだ。

ーー貨物室内ーー

「ふと思ったんだけど、ここを通らなくちゃどうろく室に行けないなんて不便じゃない?」
「噛んでる噛んでる動力室だから。まあ、たしかに不便だよね」
アリカとスバルはそんな会話をしながら歩いていた。
「ねえ、ニナちゃんも…あれ?みんなは?」
後ろを振り返ったアリカはそこに誰もいない事に気付いた。
「あれ?後ろにいると思ってたんだけど?…いったん戻る?」
スバルがそうアリカに言った時だった。
「管理局か…」
男の声がした。
「!?」
「誰!?」
声のした方を振り向いた二人の視界に、フードとマントで姿を隠した人間がいた。
船員ではないだろう。
船員は全員脱出したはずだし何より船員がこんな怪しい格好をしているはずがない。
「貴方は?」
油断なく身構えるスバル。
その手にはペンダントの姿で待機している自分の相棒が握られていた。
と、そこに。
「ア~リ~カ~!!」
「ス~バ~ル~!!」
「ニナちゃん!」
「あ、ティア!」
二人に向かってニナティアがダッシュで向かってきた。
「「はっ!!」」
「ティアナさんとウォン二等陸士が跳んだ!!?」
二人の後を追って走ってきた一団を代表してエリオが叫んだ。
「「たああぁぁ」」
どげし!!
「「げっふぅ!!??」」
「そして見事な跳び蹴りがスバルさん達に決まったぁぁ!!」
エリオが叫んだ通り、走ってきたニナティアは仮面ライダーもびっくりの見事な跳び蹴りをアリスバに決めたのだ。
「たく、勝手に進むんじゃないわよ!」
手をパンパンと叩きながら、ティアナは二人に向かってそういった。
「ん?なによ」
倒れているスバルが指差している事に気付いたティアナは彼女の指差す方向に視線を向けた。
「!!?」
そこで初めてあの男の存在に気付いた。
「誰ですか!?」
「……この様な子供を手にかけねばならないとは………だがそれも我らが悲願の為ならば致し方あるまい」
男はティアナの誰何の言葉を無視して独り言を呟き続けた。
どうやら自分の言葉に陶酔している様だった。
「………貴方を貨物船襲撃の関係者として捕縛します。抵抗しなければ貴方にも弁明の機会があります」
無視された事に特に反応はしなかったが、いきなり同行ではなく捕縛と言った所をみると、結構ムッとしたのかもしれない。
ーーズン。
ティアナの言葉が終るか終らないこという瞬間、貨物室が震えた。

ーー起動六課・作戦司令室ーー

「貨物室内にガジェットドローンの反応が多数!!」
「なんやて!?一体どういう事や!!」
「わかりません!?」

ーー貨物室内ーー

貨物室内の至る所にあるコンテナが裂け、中から出現したのは、
「「「ガジェット!!」」」
「ティア!どういう事!?」
「あたしが知るか!!というか、もう復活したんか!!」
慌てるフォワードメンバーを男は静かにみていたが、
「なるほど。機能を停止状態なら管理局は探知出来ないわけか…」
と、八人の様子にポツリと呟いた。
「っく!一時撤退!この状況じゃ不利よ!!」
ティアの言葉に走る一同。
幸いにもガジェットは起動したてな為か動きが鈍く、フォワードメンバーは何とか入ってきた扉の外に到着した。
全員がいる事を確認すると、ティアナは扉を閉めた。
「…ふう。じゃあ、デバイスを起動して応戦するわよ」
「そうね。もう見つかってしまったものね」
ティアナとニナがそう言った時、扉が変形しだした。
扉の向こうのガジェットが扉を破壊しようとしているのだ。
「いくよ、マッハキャリバー」
「いくわよ、クロスミラージュ」
「いくぞ、ストラーダ」
「いくよ、ケリュケイオン」
「じゃあやるわよ、クリンベリル」
「ロードナイト、お願いね」
「さあ蹴散らすわよ、ワルキューレ」
各自待機状態の自分のデバイスを取り出し天にかかげ、叫んだ。
「「「「「「「setup!!」」」」」」」
スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、ニナ、エルス、トモエの体が光に包まれた。
そしてバリアジャケットをまとった姿となった。
通常使用形態となったデバイスを手に(ローラーブーツ型のマッハキャリバーとグローブ型のケリュケイオン以外)を持ち身構える。
「って、アリカ!?デバイス起動しないと!!」
ペンダントを見つめたまま動かないアリカに、スバルは慌てた。
「む~」
「アリカ?」
「え~と、無限に広がる星の海に舞し月の乙女よ…青き輝石は誓いを胸に新の主と共に歩まん。主が見る夢の為、主と共に歩む者達との思いの為、青き希望よ今輝かん!!」
手に持った紙を見ながらどこかたどたどしい口調でそう言うアリカを見てスバルは、
「え~!!起動詠唱!?しかもちゃんと覚えてない!!」
と驚いた。
「アルテミス、セートアップ!!」
アリカの声と共にペンダントに「setup」の文字が浮かび、バリアジャケットを生成した。
「ふう、なんとか起動出来た~」
そう言っておでこを拭うアリカ、その右耳についたピアスがきらりと光った。
ちょうどその時、扉を壊してガジェットⅠ型が出てきた。
が、切り込んできたこのⅠ型は、すぐにスクラップとなる。
「とりゃあああああああああ!!」
スバルにぶん殴られたからである。
どごお!!
スバルの強烈な一撃を食らったⅠ型は後ろにいた同機を巻き込んで吹っ飛び、爆発した。
「うわぁお」
「なんつう馬鹿力…」
スバルのすさまじいパワーに一瞬呆気にとられるアリカとニナ。
スバルの一撃を皮切りに、突撃するエリオ。
「よ-し、あたしも!」
アリカは気合いを入れと人差し指をガジェットに向けた。
「えーと、魔力を指に集中させて…」
アリカの言葉に呼応するかの様に、人差し指の先に魔力の光が灯る。
「ファイヤ!」
アリカの言葉と共に撃ち出された魔力弾はガジェットにあたる直前に、見えない膜の様なものに激突、消滅した。
「えー!!なんで!?」
「あれがAMF(アンチマギリンクフィールド)…」
驚愕するアリカに対して冷静に呟くニナ。
「えーめむえふ?」
「魔法を無力化する結界よ。範囲はそれほどないみたいだけど。ってアリカ。あんた説明されたでしょうが!!」
「むー?」
ニナの言葉に、二つのおさげを?マークにして悩むアリカ。
「あんたの記憶力をその程度なのね」
もういいわ、といった口調でニナはそう言うと、貨物室の中に入って行った。
見捨てられたアリカは先ほどのニナの言った事を考えていた。
「う~ん。あう?それじゃあ、あの機械さん達壊せないって事?あれ?でもスバルちゃんは壊したよね?」
「AMFは魔力結合を阻害するだけなので魔力によって強化された物体は防御できないんです」
驚異の髪芸を披露しながら悩むアリカにAMFの説明をしたのは後方に控えて前衛の支援をするフルバックのキャロだった。
「う~ん」
キャロの説明に再び考え込むアリカ。
「つまり、直接殴ればいいんだ!!」
答えが出たらしい。
微妙に間違っているがのだが。
「ありがとう!キャロちゃん!!」
アリカはキャロの手を握ってぶんぶんっと振り回しながらお礼を言った。
「よーし、やるぞぉ!!」
そう言ってアリカは突撃していった。

あとがき 
長くなりそうなので今回はここまで
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