貴石の契約者9話

まずは感想ーーなつかしいなこの形式。

ーーキョウリュウジャー
弱み握ったとか言っておきながらアイガロンのために写真をとるラッキューロいい奴。
ただ巨大化させるときキングにやらてた怪我していたのがワロタ。

ーーガイム
日常生活で変身しまくるライダーって…弦太朗以上だ…

ーー遊戯王
すいません。まだ観ていません






「痛っつ!?…まどか~。痛いよ~」
手当てを受けていたさやかは、突然の痛みに涙目でそう言う。
「もう、さやかちゃんが悪いんだからね。痛覚遮断なんてして無茶して」
包帯をわざときつく巻いて痛みを与えた張本人であるまどかは頬を膨らましてそう言った。
「いや~、めんごめんご」
「もう、心配したんだから!」
軽い調子で謝るさやかにますます頬を膨らませるまどか。
「まあその辺にしたら?」
と、黒髪の少女がそう言いながら二人に近づいた。
「カズミちゃん…」
「敵に囲まれた君を助けるためだったんだし。大目に見てあげようよ」
「おお~、カズミ~。アンタはわかってくれるか~」
さやかはカズミに飛びつくが、
「まあ、さやかのやった行動もほめられたものじゃないけど」
「うっ…」
さらりと言われた言葉に沈黙する。
「そうだよ!」
と、急に声を荒げるまどか。
「あんな無茶して…心配したんだから……もう、大切な人を失いたくないの」
最後の部分は消えそうなほどだったが、二人には確かに聞こえた。
「まあ、その話は後にして、さやかの怪我は大丈夫?」
その意味を知るカズミはあえて明るい口調でそう言う。
「大丈夫、大丈夫」
さやかも同じくあえて明るい口調で答える。
「そう、じゃあ、お昼にしない?二人とも作戦中で遅かったでしょ?あたしお弁当作ってきたよ」
「おお!カズミの料理は絶品ですからなぁ」
取り出されたお弁当箱に、思わず身を乗り出すさやか。
「ね、一緒に食べよう?」
カズミはそう言って笑顔でお弁当を差し出す。
親友の笑顔に、まどかは笑みを浮かべてうなずいた。

夢を…見ていた。
懐かしい、夢を。遠い昔に失くしてしまった日々を。
「お母様~?」
だが、娘の声に目を覚ました。
『どうしました?ナハト』
わたしの言葉に彼女はしばらくう~んと唸っていた。
どうしたのだろうと思っていると、
「あのね、あのね。ナハトね、お絵かきしようとペンを探していたの。そしたらお母様が眠ていたから起こさないように静かに探そうと思ったの」
たどたどしい口調で説明する。
しかし、完全に顔が隠れているのによく眠っていたとわかったものですね。
「でもね、お母様…なんだか泣いているように見えたからから、起こそうと思ったの」
わたしを起こしてしまった罪悪感からか、おどおどと話すナハト。
『……』
ナハトの言葉に驚く。
どうやら懐かしい夢に思わず涙してしまったようだ。
『ありがとう、ナハト。もう大丈夫ですよ。ただ、懐かしい夢を見ていただけですから』
そう言いながらナハトの頭をなでる。
本物ではない、機械で作られた紛い物の腕だが、それでもなでられるナハトは気持ちよさそうだった。
『本当に懐かしい夢を…』

 魔法少女まどか・かずみ☆マギカ - 貴石の契約者・まどか編

  第9話 あたしって、ほんとバカ

「やり方さえ分かっちゃえば簡単なもんだね。これなら負ける気がしないわ」
魔女を倒したさやかは傷を魔法で修復しながらすそう言うさやか。
と、彼女はグリーフシードを杏子に投げた。
「あげるよ。そいつが目当てなんでしょ?」
「オイ…」
「あんたに借りは作らないから。これでチャラ。いいわね」
「いや、トドメを刺したのはお前なんだから、半分は使ってもいいんじゃないかなー、と思うぞ。俺は」
「いいのよ。マミさんだってそうしただろうし」
リョウの言葉にそう答えると、さやかはまどかの方に歩き出す。
「さやかちゃん…」
「ちょっとなに震えているのさ。帰ろうまどか」
と言った時、ふらとさやかが倒れかけた。
慌てて支えるまどか。
「あ、ゴメン。ちょっと疲れちゃった」
「無理しないで。つかまって」
「じゃあ、自分たちはこの辺で」
『コン』
帰路に着くさやかたちに着いていくユウたちは杏子にそう言って立ち去っていった。
「あのバカ」
一人残った杏子は、誰ともなしにそう呟いた。

雨が降ってきたのと、さやかを休ませる目的のために、まどかたちはもう終点が出たバス停のベンチに座っていた。
「さやかちゃん…あんな戦い方、ないよ」
ふと、まどかが呟く。
「痛くないなんて嘘だよ。見てるだけで痛かったもん。感じないから傷ついてもいいなんて、そんなのダメだよ」
泣きそうな声でそう言うまどか。
「…ああでもしなきゃ勝てないんだよ。あたし才能ないからさ」
と、消え入るような声でさやかが答える。
「美樹…」
「あんなやり方で戦ってたら、勝てたとしても、さやかちゃんのためにならないよ」
『まどっちの言うとおりコンよ。自分の体を大切にしないと…』
まどかの言葉にうなずく九尾。
「あたしの為にって何よ?」
「えっ?」
『コン?』
さやかはバッとソウルジェムをまどかに目の前に突きつけた。
「こんな姿にされた後で、何が私の為になるって言うの!?」
「さやかちゃん…」
『いや、それはその…』
言いよどむまどかと九尾。
「今の私はね、魔女を殺す、ただそれしかだけ意味がない石ころなのよ。死んだ身体を動かして生きてるフリをしてるだけ。そんな私の為に、誰が何をしてくれるって言うの?考えるだけ無意味じゃん」
「おい、そんな言い方ないだろう!鹿目と九尾はお前を心配して言ったんだぞ!」
珍しく声を荒げるユウ。
「それに今お前、死んでいるって言ったな。死んでいる奴がそんなこと思うかよ。そんなことで悩んだりするのって、生きているって証拠じゃないのか?」
悲しそう言うリョウ。
「そ、そうだよ!それに私は…どうすればさやかちゃんが幸せになれるかって」
「だったらあんたが戦ってよ」
「え…」
「キュゥべえから聞いたわよ。あんた誰よりも才能あるんでしょ?私みたいな苦労をしなくても簡単に魔女をやっつけられるんでしょ?」
「私は…そんな…」
「あたしの為に何かしようって言うんなら、まずあたしと同じ立場になってみなさいよ。無理でしょ。当然だよね。ただの同情で人間やめられるわけないもんね?」
「同情なんて…そんな…」
「何でも出来るくせに何もしないあんたの代わりに、あたしがこんな目に遭ってるの。それを棚に上げて、知ったような事言わないで」
「おい!」
リョウが咎めるように言うとさやかは雨が降るバス停の外に出ようとする。
「さやかちゃん…」
慌てて止めようとするまどかだが、
「ついて来ないで…!」
さやかの言葉につい動きを止めてしまう。
そしてその間にさやかは駆け出していった。
「バカだよあたし。何て事言ってんのよ…。もう救いようがないよ…」
雨の中、走るさやかの心は後悔でいっぱいだった。
そんな彼女の手の中で、ソウルジェムが鈍く光っていた。

杏子は対ワルプルギスの夜のための作戦会議のためにほむらの家にいた。
「ワルプルギスの夜の出現予測は、この範囲」
「根拠は何だい?」
地図に書いた円を指差しながら言うほむらにカップうどんをすすりながら問う杏子。
「統計よ」
地図にスープこぼさないでくれるかしら。と呟きながら答えるほむら。
「統計?」
その言葉に杏子は眉をひそめた。
というのも、
「以前にもこの街にワルプルギスが来たなんて話は聞いてないよ。一体何をどう統計したってのさ」
そこまで言うとため息をつき、
「お互い信用しろだなんていえる柄でもないけどさ。もうちょっと手の内を見せてくれたっていいんじゃない?」
と言った。
とそこへ、
『それはぜひ僕からもお願いしたいね。暁美ほむら』
どこからともなくキュゥべえが沸いて出てきた。
「どこら沸いて出てきやがったテメェ…」
槍をキュゥべえに突きつける杏子。
『やれやれ、ボクをゴキブリみたいに言うのはやめてくれないかな?今夜は君たちにとって、重要なはずの情報を知らせに来たんだけどね』
「ああん?」
『美樹さやかの消耗が予想以上に早い。魔力を使うだけでなく、彼女自身が呪いを生み始めた』
「誰のせいだと思ってんのさ」
ジト眼になる杏子。
『このままだと、ワルプルギスの夜が来るより先に、厄介なことになるかもしれない。注意しておいた方がいいよ』
「何だそりゃ。どういう意味だ?」
キュゥべえの言わんとすることが理解出来ず、聞き返す杏子。
『僕じゃなくて、彼女に訊いてみたらどうだい?君なら既に知っているんじゃないかな? 暁美ほむら」
「聞くだけのことは聞いたわ。消えなさい」
ほむらの言葉にやれやれといった様子で立ち去るキュゥべえ。
「ほっとくのかよアイツ」
「あれを殺したところで、何の解決にもならないわ」
「いや、誰も殺すとまでは…」
ほむらの言葉に流石に引く杏子。
「それよりも美樹さやかだ。アイツの言ってた厄介ごとってのは何なんだ?」
気を取り直してそう問い掛けてみると、
「彼女のソウルジェムは、穢れを溜め込み過ぎたのよ。早く浄化しないと、取り返しのつかないことになる」
と具体的な事は言わずにほむらは答えたので、
「ーー?」
眉をひそめる杏子だった。

翌日の朝。仁美は戸惑っていた。
「あの…一体……?」
と言うのも、目の前にリョウが現れたと思ったら、突然土下座をしたのだ。
「頼む!今日かみやんに告白するのは待ってくれ!!」
「え…どうしてそれを?」
「あの時、美樹と会話を偶然聞いてしまったんだ!それについてはすまんと思っている!!」
土下座の体勢のままそう言うリョウ。
「今、美樹の奴は少々込み入った事情で告白どころではないんだ…ただでさえ辛いことがあって心が押し潰れそうな状況な上にお前のあの言葉でもう完全にヤバイ方向になっているんだ!だからコクるのはせめて美樹の問題が片付くまで待ってやってくれ!頼む!!」
「………その込み入った事情というのは?」
「それは………」
仁美の問いに口ごもるリョウ。
果たして仁美に魔法少女の事を説明してよいものかどうか判断が出来なかったからだ。
信じてもらえるのか?
例え信じてもらえたとしても、彼女を巻き込む事をさやかがよしとするのか?
そのような考えが、彼の頭の中を駆け巡った。
「……言えないのですか?でしたらずいぶんと勝手な頼み事ではありませんか?」
沈黙するリョウに冷たく言う仁美。
「確かに…そうかもしれない。だが、俺がアイツのために出来ることはこんなことぐらいなんだ。だから頼む!」
ドンとリョウが頭を地面にぶつける音がした。
「説明は出来ない!でもかみやんの事は諦めてくれという訳じゃないんだ!ただ今は時期が悪い!だから頼む!!フェアにやりたいと思うのなら美樹の奴の問題が片付くまでコクるのは待ってくれ!頼む!!」
「…………申し訳ありませんが、私はもう決めたんです。今日、上条君に告白すると」
だが仁美は答えは冷たかった。
「私はずっと上条君の事が好きでした。でも、この気持ちを外に出せば、きっとさやかさんとはお友達でいられなくなるでしょう。そうなれば、きっとまどかさんとも…だからずっと誰にも相談できずにいました」
「………」
「でももう自分を偽るのは嫌なんです。それにこの気持ちを秘めたままじゃ、さやかさんたちを騙しているみたい…」
(だから、か…)
魔女は心が弱っていたり、深刻な悩みがあるものを狙う。
上条恭介に対する想いと、それを口にするばさやかとまどかとの友情に亀裂が入るのではという恐怖。
そして親友の想い人への想いを秘密にする罪悪感。
それらがいつしか重荷となり、魔女につけいれられる隙を作ったのだろう。
(そこを魔女に付け入られた…というわけか)
「ともかく、私はやめるつもりはありません」
「そうか…すまなかったな。時間を取らせて」
そう言うと、リョウは起き上がる。
「いえ…ずいぶんとあっさり引き下がるんですのね…」
「ぶん殴ってでも言う事聞かせろってか?生憎、俺は女に暴力を振るう趣味はねえよ。頭を下げてまで説得したけど、それでも折れないくらいアンタの決意は固かった。なら、アンタの説得以外の方法で美樹のために行動するしかないじゃないか」
そう言うと仁美に背を向けて、さやかを探すためにリョウは歩き出す。
「あの…」
「ん?」
「響君は、どうしてさやかさんのためにそこまでするんですか?」
「ダチだからな。全力でなんとかしてやるのが当たり前じゃないか。志筑も、告白。がんばれよ」
仁美の言葉に笑ってサムズアップをすると、リョウは「じゃ」と言って走り出した。
「……不思議な人」

「えっ!?昨日から帰っていないんですか!?……わかりました!失礼します!!」
さやかが休んだ事にさやかの家に電話したまどかは彼女がまだ家に帰っていない事を知る。
「どうした?」
「さやかちゃんまだ家に帰っていないんだって!……あの時…追いかけなきゃダメだったの…」
「悔やんでいる場合じゃないだろ。いまは美樹を捜すほうが先だ」
「………うん、わかった……さやかちゃん…捜さなきゃ」
まどかとユウはさやか捜すために駆け出す。
「……たく、リョウのやつはどこでなにやっているんだよ」

「でもさぁ、志筑さんって、帰る方角はこっちなんだっけ?今まで帰り道に見かけたことってないような…」
「ええ。本当は全然逆方向ですわ」
「え…じゃあ、今日はどうして?」
「上条君に…お話したいことがありますの」
「話?一体なに」
「それは…」
と、そこで今朝のリョウの事を思い出す。
ーー美樹の奴は少々込み入った事情で告白どころではないんだ
「………」
ーー説明は出来ない!でもかみやんの事は諦めてくれという訳じゃないんだ!ただ今は時期が悪い!だから頼む!!フェアにやりたいと思うのなら美樹の奴の問題が片付くまでコクるのは待ってくれ!頼む!!
「私ってホント、馬鹿…」
本当はさやかになにかがあった事には気づいていた。
気づいていたから、そこを付け入るチャンスと思って、昨日の宣告を行なった。
酷い女。と仁美自身も思う。
なによりいま、さやかのためとか言いながら自分の恋を応援してくれたリョウの想いも裏切ろうとしているのだから。
「え、なにか言った?」
仁美の呟きに聞き返す恭介。
「いえ、なんでもありませんの」
そんな彼に、仁美は笑みを浮かべて答えた。

「………」
木の陰から、さやかはいた。
視線の先には、ベンチで座り、仲良く談笑する男女。
仁美と恭介だった。
「うわああああああああああああ!!」
叫びと共に使い魔を斬り倒す。
平和のために。
人を守るために。
さやかに心のどこかではわかっていたのかもしれない。
自分がただ、八つ当たりとしているだけという事に。
「はあ、はあ、はあ…」
結界が消えた後、疲労でへたれこむ。
「どうして分からないの。ただでさえ余裕がないのだから、魔女だけを狙いなさい」
そんな彼女に、ほむらが声をかけた。
「うるさい、大きなお世話よ」
と、ほむらはさやかの目の前にグリーフシードを投げた。
「もうソウルジェムも限界のはずよ、今すぐ浄化しないと。使いなさい」
だがさやかはそれを自分の後ろに蹴り飛ばす。
「今度は何を企んでるのさ」
「いい加減にして。もう人を疑ってる場合じゃないでしょう。そんなに助けられるのが嫌なの?」
さやかの行動に若干イラだった様子を見せるほむら。
「あんた達とは違う魔法少女になる。私はそう決めたんだ。誰かを見捨てるのも、利用するのも、そんな事をする奴らとつるむのも嫌だ。見返りなんていらない。私だけは絶対に自分の為に魔法を使ったりしない」
対するさやかの声に、感情があまり感じられなかった。
それは、いつもと逆の光景。
「……あなた、死ぬわよ」
「あたしが死ぬとしたら、それは魔女を殺せなくなった時だけだよ。それってつまり用済みって事じゃん。ならいいんだよ。魔女に勝てないあたしなんてこの世界にはいらないよ」
「ねえどうして?貴女を助けたいだけなの。どうして信じてくれないの」
「どうしてかな。ただ何となく分かっちゃうんだよね」
「ーー?」
さやかの言葉に怪訝なほむらの表情が、次の言葉で驚愕のものに変わる。
「あんたが嘘つきだって事」
「ーー!」
「あんた、何もかも諦めた目をしてる。いつも空っぽな言葉を喋ってる。今だってそう。あたしの為とか言いながら、ホントは全然別な事を考えてるんでしょ?ごまかし切れるもんじゃないよ、そういうの」
「………」
さやかの言葉にほむらはしばし沈黙すると、
「貴女って鋭いわ。ええ、図星よ」
ソウルジェムを取り出しながら暗い笑みを浮かべる。
さやかが思わずゾッとするほどの笑顔を。
「私は貴女を助けたい訳じゃない。貴女が破滅していく姿を、まどかに見せたくないだけ。全てはあの子のためよ」
そう言うほむらの姿が、魔法少女のものに変わっていく。
「ここで私を拒むなら、どうせ貴女は死ぬしかない。これ以上、まどかを悲しませるくらいなら。…いっそ私が、この場で殺してあげるわ。美樹さやか」
ゆっくりとさやかに伸びるほむらの腕。
さやかはただ吸い込まれるようにその腕を見つめて…
と、その時、
「なにやっている!」
杏子がほむらを羽交い絞めにした。
「オイ、さっさと逃げろ」
その言葉に慌てて逃げ出すさやか。
それを確認した杏子は捕まえているほむらに視線を移す。
「正気かテメェは。アイツを助けるんじゃなかったのかよ」
「……離して」
杏子の言葉にほむらはただそう答えるだけ。
と、いつもの様に突然消えたりしない彼女を見て、
「フン、なるほどね。こんな風にとっ捕まったままだと、あの妙な技も使えないってわけか?」
ほむらの能力の弱点を知って得意げに言う杏子。
だが次の瞬間、ほむらの盾から手榴弾が飛び出し、彼女が安全ピンを口で外した。
「うえっ!?」
ドオン!
「な、なんつー物を持ってんだアイツ……」
間一髪逃れた杏子は愕然とした表情でほむらがいた場所を見る。
「クソッ!逃げられた!!」
ドン。と地面を叩く杏子。
と、そこへ、
「まさか、手榴弾なんてやばいものを持っているとはな……まいったまいった。まいったと言わざるえないじゃないか」
「アンタ……ーー!?ああ、頭………」
突然現れたリョウに驚く杏子だが、それ以上に彼の頭でもっと驚いた。
「ん、どうした?そういえばなーんか頭が痛いような」
なんと、先ほどさやかが投げ捨てたグリーフシードが刺さっているのだ。
「いやいやいや。痛いようなじゃないよ!どう見ても刺さっているぞ!血もだくだく流れているし!!」
「はっはっはっ。気にしちゃダメじゃないか」
「気にしろおおおおおおおお!!」
全力で叫ぶ杏子。
「と、こんな事をしている場合じゃねえ!早くあの馬鹿を追いかけないと」
『それはどっちコンか?ほむほむコンか?さやかんコンか?』
「どっちもだ!!」
リョウの頭の怪我を治療する九尾の言葉に叫びながら答える杏子。
「たく、さやかの奴はどこ行ったんだよ」

夜、走る電車の中、さやかはいた。
「言い訳とかさせちゃダメっしょ。稼いできた分はきっちり全額貢がせないと。女って馬鹿だからさ、ちょっと金持たせとくとすぐくっだらねぇ事に使っちまうからねぇ」
「いや、ほんと女は人間扱いしちゃダメっすね。犬かなんかだと思って躾けないとね。アイツもそれで喜んでる訳だし。顔殴るぞって脅せば、まず大抵は黙りますもんね」
二人組みの男が、ホストだろう。がそんな会話をしていた。
「けっ、ちょっと油断するとすぐ付け上がって籍入れたいとか言いだすからさぁ、甘やかすの禁物よ」
「捨てる時もさぁほんとウザいっすよね。その辺ショウさん巧いから羨ましいっすよ。俺も見習わないと」
「ねえ、その人のこと、聞かせてよ」
気がつけばさやかはその二人の前に立っていた。
「今あんた達が話してた女の人のこと、もっとよく聞かせてよ」
「お嬢ちゃん中学生?夜遊びは良くないぞ」
「その人、あんたの事が大事で、喜ばせたくて頑張ってたんでしょ?あんたにもそれが分かってたんでしょ?なのに犬と同じなの?ありがとうって言わないの?役に立たなきゃ捨てちゃうの?」
「何こいつ?知り合い…?」
ショウさんと呼ばれたホストの言葉に隣の後輩だろう人物は「いえ」と答える。
「ねえ、この世界って守る価値あるの?あたし何の為に戦ってたの?教えてよ。今すぐあんたが教えてよ。でないとあたし…」

ーーどうにかなっちゃうよ

黒い笑みが浮ぶ。

「さやかちゃん…どこ?」
疲れ果て、ベンチに腰掛けてそう呟くまどか。
その姿に、ユウはなんと声をかけていいのかわからなかった。
『君もボクのことを恨んでいるのかな?』
「キュゥべえ…!」
そこへ現れる存在。
ユウは怨みの声をあげるが、意味のない事に気づいて押し黙る。
「あなたを恨んだら、さやかちゃんを元に戻してくれる?」
『無理だ。それはボクの力の及ぶことじゃない』
うつむいたままのまどかの言葉に、キュゥべえはいつもと変わらない口調で否定する。
「ねえ、いつか言ってた、私がすごい魔法少女になれるって話、あれは…本当なの?」
『凄いなんていうのは控えめな表現だ。君は途方もない魔法少女になるよ。恐らくこの世界で最強の』
「どうして私なんかが…」
『ボクにも分からない』
まどかの疑問の言葉に、彼女の隣に来たキュゥべえはわからないと答えた。
『はっきり言って君が秘めている潜在能力は、理論的にはあり得ない規模のものだ。誰かに説明して欲しいのは、ボクだって一緒さ』
「そうなの?」
意外そうに言うまどか。
『君が力を開放すれば、奇跡を起こすどころか、宇宙の法則をねじ曲げることだって可能だろう。なぜ君一人だけが、それほどの素質を備えているのか。理由は未だにわからない。まどか。君は、望むなら、万能の神にだってなれるかもしれないよ』
「私は…自分なんて何の取り柄もない人間だと思ってた。ずっとこのまま、誰のためになることも、何の役に立つこともできずに、最後までただ何となく生きていくだけなのかなって。それは悔しいし、寂しいことだけど、でも仕方ないよねって、思ってたの」
「まあ、人間、どんな才能を持っているかわかないものだしなあ…」
まどかの呟きに、頬をかきながら呟くユウ。
「ねえ、キュゥべえ。私なら…キュゥべえにできないことでも、私ならできるのかな?」
『というと?』
「私があなたと契約したら、さやかちゃんの体を元に戻せる?」
『その程度、きっと造作もないだろうね。その願いは君にとって、魂を差し出すに足る物かい?』
まどかの言葉に、あっさりというキュゥべえ。
ユウは、止めなかった。
ただ魔女が見えるだけの自分に、そんな資格はないと思ったから。
だから静かに見ていた。
「さやかちゃんのためなら…いいよ。私、魔法少女に…」
そしてまどかは魔法少女にーー
ーードシャ
その前に、キュゥべえの身体が一瞬で穴だらけになり、崩れ落ちた。
「わっ…!?」
「え?」
一瞬、なにが起きたのかわからなずただ驚くだけの二人。
と、ユウは少し離れたところにある人物がいる事に気づく。
「暁美…ほむら!」
「ほむらちゃん?」
ユウの言葉にまどかも彼女の存在に気づく。
「お前がやったのか?」
ユウの問いに答えるように、彼女は撃ち尽くした拳銃を地面に投げ捨てる。
「ひ…ひどいよ、何も殺さなくても」
思わず咎めるまどかだが、ほむらは構わずまどかに近づく。
「お、おい!」
ユウの止める言葉も無視して、まどかの肩を掴んだ。
「貴女は、なんで貴女は、いつだって、そうやって自分を犠牲にして!」
「え?」
突然そう言うほむらに驚くまどか。
「役に立たないとか、意味がないとか、勝手に自分を祖末にしないで!貴女を大切に思う人のことも考えて」
そう言う彼女は泣いていた。
「いい加減にしてよ!貴女を失えば、それを悲しむ人がいるって、どうしてそれに気づかないの!」
泣きながらそう叫ぶほむら。
「貴女を守ろうとしてた人はどうなるの!」
「ほむらちゃん…ーー!?」
「!?」
その姿に、突然まどかと、そしてユウの頭に二つの光景が閃く。
一つは、眼鏡を掛け、三つ網にしたどこか弱々しいが、確かにほむらと、以前まどかが描いた魔法少女に良く似た格好をしたまどかの光景。
微笑むまどかは巨大な魔女に立ち向かっていく。
もう一つは、いまと同じ姿をしたほむらの目の前で、同じ巨大な魔女を撃ち滅ぼし、さらに地球をも飲み込むほどの巨大な魔女すらも滅ぼすまどかの姿。
「……今のは?」
脳裏に浮んだ光景に呆然となるユウ。
「私たちはどこかで…どこかで会ったことあるの?私と」
ぽつりとほむらに問うまどか。
「そ、それは……」
「ごめん。私、さやかちゃんを探さないと」
だがさやかの事を思い出し、なにかを言うべきか苦悩するほむらを置いて走り出す。
ユウも慌てて追いかける。
「待って、美樹さやかは、もう」
止めようとするほむらだが、
「ごめんね」
「待って…まどか!」
静止の声は無駄に終わり、一人残されたほむらに声をかけるものがいた。
『無駄な事だって知ってるくせに。懲りないんだなあ、君も』
ほむらに撃ち殺されたはずのキュゥべえだった。
生き返った…のではない。
先ほど粉々になった死体は今もまどかが座っていたベンチにある。
『代わりはいくらでもあるけど、無意味に潰されるのは困るんだよね。勿体ないじゃないか』
新しくやってきたキュゥべえは、その死骸をハグハグと食べ始める。
『きゅっぷい…』
自分の死骸を食べるという、異様な光景が終えたキュゥべえは、
『君に殺されたのは、これで二度目だけれど、おかげで攻撃の特性も見えてきた。時間操作の魔術だろう?さっきのは』
「………」
『やっぱりね。何となく察しはついてたけれど、君はこの時間軸の人間じゃないね』
沈黙を肯定と受け取るキュゥべえ。
「……お前の正体も企みも、私は全て知ってるわ」
『なるほどね。だからこんなにしつこくボクの邪魔をするわけだ。そうまでして、鹿目まどかの運命を変えたいのかい?』
ほむらの言葉に納得の言った様子のキュゥべえ。
そんな彼にほむらは自分の意思を宣告する。
「ええ、絶対にお前の思い通りにはさせない。キュゥべえ……いいえ、インキュベーター」

駅にさやかはいた。
もう終電も終わり、駅には誰もいない。
「やっと見つけた…」
『おひょひょひょ。コンの妖怪レーダーを舐めちゃいかんコンよ』
「いや、たいして役に立っていないだろう」
と、そこへ杏子とリョウと九尾がやってくる。
「アンタさ、いつまで強情張ってるわけ?」
さやかの隣に座ると、そう言いつつスナック菓子を開ける杏子。
「悪いね、手間かけさせちゃって」
と、素直に謝るさやか。
「お、珍しいじゃないか。お前が素直に謝るなんて」
「そうだよ、らしくないじゃんかよ」
「うん。別にもう、どうでも良くなっちゃったからね」
リョウと杏子の言葉にそう言うさやか。
その言葉に眉をひそめる杏子と、嫌な予感がするリョウと九尾。
「結局私は、一体何が大切で何を守ろうとしてたのか、もう何もかも、わけ分かんなくなっちゃった」
さやかの言葉になにか言い知れぬ不安を覚えた杏子は、ふと視線を落とす。
「て、オイ!アンタ、ソウルジェム!!」
「真っ黒じゃないか!」
リョウの言うとおり、さやかのジェムは真っ黒だった。
まるでグリーフシードのように。
「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって、いつだったかあんた言ってたよね。今ならそれ、よく分かるよ」
だがそんな周囲の様子に特に反応もせず言葉を続けるさやか。
「確かに私は何人か救いもしたけどさ、だけどその分、心には恨みや妬みが溜まって。一番大切な友達さえ傷付けて」
「さやか、アンタまさか」
「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね」
さやかの目から涙がこぼれ、
「あたしって、ほんとバカ」
ジェムに当たった。
同時に、ジェムが砕け、
「うわあああ!」
『なに事コン!?』
凄まじい衝撃波が発生した。
「ぐ、さやかああああああああぁぁぁっ!!」
そんな中、杏子の叫びが響いた。

「きひゃひゃひゃ!しっかし、魔法少女ってのは中々皮肉が効いていると思わないかい?」
さやかたちがいる駅を見下ろせるビルの屋上にいるピンクの少女はさも楽しげに語る。
「この国では成長途中の女のことを少女と呼ぶ。だからやがて魔女に彼女たちのことを魔法少女と呼ぶってね。きっへへへ」
『ふん、呼び名などどうでもよいことだ。重要なのは魔法少女たちの犠牲が、新たなる破滅なき未来へと架け橋となるのだ』
少女の言葉に黒ずくめはそう言うと、の眼下にある駅を見つめる。
そこには、いま一体の魔女が誕生しようとしていた。

ーー次回予告
杏子「さやかあああああああああぁぁぁっ!!」
さやか「やかましい!」
リョウ「あべし!って、なんで俺!?」
さやか「いや、なんとなく…」
リョウ「酷くね!?」
マミ「とうとう美樹さんまで死んでしまったわね…そして次回は佐倉さんも…」
さやか「いえ、あたしまだ出番あるんで」
杏子「あたしは死なないから」
マミ「え?」

次回、第10話 独りぼっちは、寂しいもんな

ほむら「本編と予告のこのノリの差はなんなの?」
海香「今更言う?」
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