セリフが微妙に間違ってたらかもしれません。
では続きからどうぞ。

魔法少女リリカルなのは×舞‐乙HIME

 ~THE HARMONIUM SONG~

第八話 少し頭、冷やそうか

「それは仕方ないな」
『すいません』
「ええって、気にせんときな」
『では、事後処理に回ります』
「了解や」
ーーッピ。
「シグナム、なんだって?」
はやてが通信を切ると向かいに座るヴェロッサが話し掛けた。
「犯人の子…目の前で自爆したそうや」
「それは…責任を感じているだろうね」
「そうやろな。ところでロッサはなんでってここに?」
「ユーノ先生がここのオークションの特別ゲストとして招かれてね。僕はその護衛役」
「ユーノ君来とったんか…あれ?ロッサはユーノ君と何時知り合ったん?」
「最近だね。仕事の都合で無限書庫に行った際に直々に案内してくれてね。その縁で」
「なるほどな」
「ところではやて」
今まで軽い態度だったヴェロッサが急に真剣な顔になった。
「ん?」
「あの炎凪が六課に訪れたと聞いたけど…」
「うん、来たで。ここにレリックがあるって言ってたけど…なんやガセみたいやな」
「彼には気をつけた方がいい」
「なんか気になるん?」
「彼はレジアス中将を筆頭に管理局の上層部と繋がりがある。地上、海、問わず。だが、それほど顔が広い彼の素性のデータは全くないんだ」
「なんやて?」
「気になって調べてみたがクロノ提督の言う通り全くだ。出身世界も、どこで育ったのかも、家族関係も出てこない。出てくるのは交友関係だけさ。まあ、今その交友関係から洗っているけど」
「そっか。なにかわかったら教えてや」
「わかったよ。可愛い妹の為なら」
「何時からあたしら兄妹になったん?」
「ふっ。僕と義姉さんにとって君は妹の様なものさ」

ーーホテル・アグスタ周辺の森ーー

「ドクター、言われた物、ガリューが取ってきた」
『おお、ありがたい。このお礼は必ずさせてもらう。お菓子と一緒にね』
スカリエッティとの通信を切ると、ルーテシアはゼストの方に歩き始めた。
「奴の頼んだ物はなんだったんだ?」
近づくルーテシアにゼストは問い掛けた。
「わからない。密輸品みたいだった」
「そうか。では、お前の探し物を見つけに行くか」
「うん」

ーーホテル・アグスタ玄関前ーー

現場は戦いの後始末で追われていた。
ガジェットの残骸の回収とスクリーパーの死骸の除去。
「何も残らない分、スレイブの方がマシだな」
作業員が死骸を撤去しているのを見てヴィータはそう呟いた。
「そうか?犠牲が出ないだけ、スクリーパーやガジェットの方がマシだと思うぞ」
隣りに立つシグナムの言葉にヴィータはバツが悪そうな顔をした。
「わかってるよ。でも、あたしはやっぱりスクリーパーが嫌いだ。思い出すだけで吐き気がする」
「ああ、全くだ」
元々、ヴィータはスクリーパーに対して嫌悪感を持っていた。
それはシグナムもザフィーラもシャマルも同じだった。
人を襲う化け物だからというより、本能的に受け付けないのだ。
だがヴィータがスクリーパーを毛嫌う…いや憎む思いは四人の中で特に強かった。
(やはり、八年前の事をまだ気にしているのだな)
ヴィータの暗い影の落ちた表情を見て、シグナムはそう思った。
「シグナム副隊長、ヴィータ副隊長。遅れてすいません」
「ああ、なのはか…いいよ別に。お前は会場の担当なんだからって、なんでシグナムが先なんだよ!?」
やってきたなのはにヴィータは喰って掛かる。
「え…えーと…なんとなく?」
「なんだそれ!しかも疑問形!?まあ、いいけどよ」
「あ、いいんだ。それより…ティアナは?」
「裏側の警備についてる、自主的にな。おそらく自分の失敗が許せないのだろう。ウォンがついているから心配あるまい」
「そうですか……」
シグナムの言葉にどこか気を落とした様ななのは。
戦闘の代替の経過は聞いている。
スクリーパーが出た事、自分そっくりの少女が現れた事、そしてティアナがスバルを誤射した事。
そして今一番なのはが気にしている事はティアナの事だった。
「あ。八神部隊長が、もう襲撃はないだろうからって…警戒は解いていいだろうって」
「そうか」
シグナムがそう言うとスバル達にその事を伝えるべく歩き出した。
なのはもそれに続く。
「あ。ハルカ捜査官補佐、ご協力感謝します」
なのははアリカとスバルの二人と何かを話していたハルカに声を掛けた。
「いいわよ、別に。それにしてもこの新人達なかなか見所があるわね」
「あ、ありがとうございます」
自分の教え子達を褒められ、少し嬉しいなのは。
「それにしてもハルカさんってかっこ良かったです!」
「え、そう!?」
後ろに結った二本の髪をハート型にして(どんな原理かはわからないが)そう言うアリカに完全に嬉しそうに言うハルカ。
「はい!シズルさんもかっこ良かったですけど!ハルカさんはもーとかっこ良かったです!!」
「え!そう!?あ…あったりまえよ!!おほほほほ!」
ライバル視するシズルよりもかっこ良いと言われ、完全にハルカは有頂天になった。
天然ヨイショアリカ、恐るべし。
ちなみに隣りのスバルも肯いているのもハルカの機嫌をめっちゃ良くしている。
「いい事、あんた達」
「「はい!」」
ハルカの言葉に背筋を正して返事をするアリスバ。
その態度に満足そうに頷くとハルカは、
「魔導師に大切な事を教えるわ」
ハルカの言葉に何よ教えるんだろうと思ったなのはは、次に彼女の口から出た言葉で引っくり返った。
「それは、力と技と根性よ!!」
「「おお!なるほど!!」」
「高町…お前こけいるが…ぶちゃっけお前もそういう所あるぞ」
「ええ!!?」
今まで黙っていたシグナムの言葉になのははガバッと起き上った。

ーーアグスタ・裏側ーー

ティアナは真剣に辺りを見回していた。
その背後に、壁に背を預け腕を組むニナの姿があったが、こちらは目を閉じて、警備しているというより眠っている様に見えた。
「誰か来たわ」
目を閉じたままのニナは突然そう言った。
その言葉にますます真剣な表情になるティアナ。
「いや、いたいた」
やってきた人物の声に、ニナはバッと壁から背を離した。
一方のティアナは体の緊張を少し解いた。
知っている声だったからだ。
「お父様!」
声の主はセルゲイ・ウォンだった。
「あの青い髪の子…スバルだったか?に聞いたらここだって」
「どうしてアグスタにいるんですか?」
「仕事だよ。しかし驚いたよ。まさかスクリーパーが出るとはな。あれは元々水生生物だから、こんな内陸にいるのは稀なんだがな。あ~そうそう」
セルゲイはニナからティアナに視線を移した。
「前に六課に行った時、君の顔どこかで見た気がしてたんだが…ランスターの名で思い出したよ。君、ティーダの妹だろう?」
セルゲイの言葉にティアナは驚いた。
「兄を知っているんですか!?」
「ああ、一時期あいつの上司だった時もある。後、射撃を教えた事もあったな。その時君の写真を見せて貰ったーー彼の事は残念だった。だが、彼は俺の知る優秀な魔導師の一人だったよ」
「あ…ありがとうございます」
「一部の奴はあいつの事を悪く言うが、そんな事はない。少なくとも俺はそう思っている」
セルゲイの言葉にティアナは俯いた。
「ーーそう言って貰えると、兄も喜ぶと思います…」
「誇っていいよ。あいつの妹だって事」
ティアナの頭に手をポンと置いてそう言うセルゲイ。
「…はい」
俯いたまま言うティアナ。
「ウォン少佐~!」
「ん?なんだ、もう時間か…悪いなニナ。俺はこれから別の仕事にいかなくちゃならない」
「いえ…お父様。今度そのティーダという人の事を教えてください」
小声でーーティアナに聞こえない様にそう聞くニナに、セルゲイは不思議そうな顔で、
「別に構わないが…彼女から聞いたらどうだ。俺より詳しいと思うぞ」
と聞いた。
「いえ…多分当事者よりも第三者、それも事情をある程度知っている人から聞いた方がおそらく…」
俯いたままのティアナの方をチラリと見ながらやはり小声で言うニナ。
「よくわからんが…また機会があったらな」
「よろしくお願いします。できれば、早々に」
(たぶん、その事が今回の件にかかわってる)

ーーホテル・アグスタ正面玄関前ーー

玄関前に集まったフォワード陣はなのはの口から取り合えず後片付けを手伝って、六課に帰還する事になった。
「それから…ティアナは一緒にちょっと歩こうか」
「………はい」
森の中に移動するとなのはは口を開いた。
「ヴィータ副隊長にしっかり怒られたみたいだし、ちゃんと反省もしているみたいだからわたしからティアナを怒るつもりはないよ」
「……」
「でも、よく考えて。ティアナのポジションとその重要性を」
「ーー!………ごめんなさい」
「はい。じゃあ、この話はこれでお終い。事後処理を終わらせて、六課に帰ろうか」
「はい」
二人はアグスタの方に向かって歩き出した。
自分達を見つめる翡翠色の瞳の気付かず。
二人が森から出ると、フェイトが薄い金髪のポニーテールのスーツ姿の男性と話していた。
「ユーノ君!」
その人物を見たなのはは声をあげた。
「ーー!やあ、なのは」
向こうもなのはに気付き、声を掛けて来た。
「あの…なのはさん、こちらの方は?」
自分の知らない人物に戸惑うティアナ。
「無限書庫の司書長のユーノ君。わたし達の幼馴染なんだ。フェイトちゃんとなに話してたの?」
「ああ。ほら、この辺りに大きな穴というか崖があるだろ?あれについてなにか知らないかって」
「キャロが気にしてたから聞いてみたんだ」
「ちょっとわからないな…でも悪魔の伝説は幾つか知っているし僕も興味があるから今度暇な時に調べてみるよ」
「じゃあなのは、ユーノ司書長の護衛任務、引き継ぎお願いできる?」
「はい。わかりました」
「じゃあティアナ行こうか」
「え…あ、はい」
フェイトはティアナの肩を持つとその場を離れ様とした。
「ーーああ!フェイト!」
「ん?なに?」
「思い出した事があるんだ。たしか伝承の悪魔はカイザレスの悪魔って名前だったと思う」
「ーーん。ありがとう」
そして今度こそフェイトはなのはとユーノから離れた。
ちらりと二人を見たティアナはふと思った。
「あの…あの二人は付き合っているんですか?」
二人の雰囲気がなんとなくそう見えたのだ。
ーーピタ。
だが、その言葉はフェイトの動きが止めた。
「………………付き合ってないよ。相思相愛なのは確かだけど…」
「え!違うんですか?って、相思相愛でなんで付き合ってないんですか?あ…ひょっとして、なにか訳があるとか…」
「ううん。ただ二人が自分の気持ちにものすご~~~~~~~~~~~~~~~~~く鈍感なだけだから」
フェイトは酷く疲れた顔をした。
この顔が、高町なのはとユーノ・スクライアの周囲の者達の気持だった。
「…………そうですか」
ティアナはそうとしか言えなかった。

ーー機動六課・隊舎ーー

「なんだかずいぶん帰ってなかった気がする」
隊舎を見てアリカはそう言った。
悪かったな。
これでも一生懸命更新しとるんだ。
「あの…ティア?」
スバルが遠慮がちに話し掛けた。
「なによ」
「今回のミス、ティアは悪くないから」
「あ~もう、うっさい。さっさと部屋に戻ってなさい。なのはさんにもそう言われたでしょうが」
「あ…うん。って、ティアは?」
「あたしはちょっとやる事あるから。先戻ってて」
そう言うとティアナは行ってしまった。
「ーーあ…ティア…」

ーー機動六課隊舎・休憩室ーー

「ーー今回の襲撃で現れた魔導師はなのはちゃんのクローンという可能性もあるんやな?」
「ええ。年齢的にも合うし。たぶん間違いないと思う」
ホテル・アグスタの襲撃について話し合う隊長五名。
「しかし、気になるの点が二つあります。一つはティアナに向かって放たれたソニック・レーザー。シャーリーやシャマルによると、あれは魔法ではないとの事です」
シグナムの言葉に頷くはやて。
「確かに、なんでなのはちゃんのクローンにあないな力つける必要があったんや?バスターやシューターがあるのに」
「まあ、技のバリエーションはたくさんあった方がいいけどね。もう一つは…」
なのはの言葉に頷く一同。
「「「「スクリーパーを操った」」」」
「あないな事、人間にはできへん」
「はい。わたしは闇の書の守護騎士としてアレを操ろうとする者を何人も見てきましたが、誰一人…」
そこでシグナムはヴィータが全く会話に参加してこない事に気付いた。
「どないしたん?」
はやても気付いて聞いてみた。
「ん…ああ。ちょっと気になってな」
「ティアナの事?」
なのはの言葉にヴィータは
「ああ」
と肯定した。
「強くなりたいってのは魔導師なら誰でも考えるし、若い隊士が無茶をするのも良くある事だ。でも、あいつのはなんか、違う気がするんだ」

ーー機動六課・外ーー

ティアナは一人自主トレーニングをしていた。
自分の周りに無数に浮く球体があり、それが光ったらクロスミラージュを向けるという簡単なものだが、精神と体力をかなり消耗するものでもあった。
ーーピン。
「ーーふっ!」
ーーピン。
「ーーはっ!」
ーーピン。
「ーーふっ!」
ティアナはただこれを繰り返し続けていた。

ーー機動六課隊舎・アリカとニナの部屋ーー

「ーーお父様!」
部屋で一人いたニナの通信用端末(携帯電話だと思えば良い)にセルゲイから連絡がきた。
『ああ、ニナ。暇が出来たからな。だからティーダの話をしてやろうと思って』
「確かに出来れば早々にとは言いましたが…まあいいです。話してください」

ーー機動六課隊舎・休憩室ーー

「ティアナのお兄さん。ティーダ・ランスターは魔導師だったんだ。首都航空隊所属の一等空尉」
「………エリートじゃねえか」
「そうだね。だけどエリートだったから…」
「…どういう事だ?」
「彼はティアナの親代わりも務めてたんだけど…」
そこでなのはは言葉を切る。
「彼の最後の任務は違法魔導師の追跡と捕縛だったんだけど…」
「最後…」

ーー機動六課隊舎・浴場ーー

「え?殉職?ティアナさんのお兄さんがですか?」
スバルの言葉に驚くキャロ。
「うん、そう。犯人と交戦の末に」
「殉職って、死んだって事!?」
アリカも驚く。
「うん」

ーー機動六課隊舎・アリカとニナの部屋ーー

「それで、その違法魔導師は?」
『幸い、陸士隊との連携で捕縛できたんだが、問題はそれだけじゃないんだ』
「と、いいますと?」
『あいつの心無い上司が捕縛出来なかったのはエリートにあるまじき失態。その死は不名誉で無意味なものだったと』
「……………だから、か…」
彼女が気になるのは、今の自分に少し似ているから。
『しかもそれを公に言ったからな。きっと彼女の心を深く傷ついただろう』
傷ついているに決まっている。
ニナはそう思った。
親代わりの兄が死に、その死が無価値だと言われれば幼い彼女には相当な衝撃となったはずだ。

ーー機動六課隊舎・浴場ーー

「だからティア言ってたんだ。お兄さんの夢である執務官になるって」
「「…………」」
スバルの口から語られるティアナの過去を黙って聞くアリカとキャロ。
「大変だったんだね」
「うん。きっとあたし達が考えれる以上に」

ーー機動六課・外ーー

日が落ちてもなお自主トレを続けているティアナ。
彼女がこれを始めた時は夕日はまだそれなりの高さにあった事を考えると一体どれほど続けていたのか。
「全く…少しは休まねえと体が持たねえぞ」
そんなティアナに声が掛かった。
「ーー!!ヴァイス陸曹…覗いていたんですか」
「ヘリの整備中によく見えたぜ。それより、あんまし無理すんなよ。お前さんは身体が資本なんだからな」
「すいません。”凡人”なんで、死ぬ気で努力しないといけないもので」
自主トレを続けるティアナ。
「まー、別に止めはしないけどよ…」
そんな彼女に若干呆れながらヴァイスはそう言うと暫くティアナを見ていた。
「俺に言わせればお前は十分凡人じゃねえよ」
ため息混じりにヴァイスはそう言ったが、ティアナからの反応はなかった。

ーースバルとティアナの部屋ーー

「あー、とうとう機動六課の所がない…まあ、いいけど」
そう思うなら突っ込まない。
「それにしてもティア…遅いなー、やっぱり迎えに行った方が…」
プシュー、という音とともに部屋のドアが開き、ティアナが帰ってきた。
「あ、ティア!」
「……………………なによ、まだ寝てなかったの?」
「あ、うん」
「悪いけどもう寝るわ。明日は四時起きだから目覚まし五月蝿いかったらごめんね」
既にパジャマに着替えていた(部屋に戻る前に風呂に入ってそこで着替えたのだろう)ティアナはベッドに入ってしまった。
「あ、別にいいよ、ってもう寝ちゃってる」
スバルは静かな寝息をたてて眠るティアナに、
「おやすみ」
と言うと、自分も眠りについた。

ーー時空の海・時空航行艦クラウディアーー

さて、スバルとティアナが眠りについたが、世の中にはまだ眠れない人達もいる。
例えば時空航行艦の艦長とか。
「………」
クロノは報告書を片手に難しい顔をしていた。
「失礼する」
そう言って艦長室に入ったのは、ナツキだった。
「ああ、君か。またシュバルツだ」
「なに?」
クロノの言葉に驚くナツキ。
当然だろう、彼女がこの艦に今乗っているのはある時空世界で出現したスレイブの事件の調査の為だった。
「最近急に活発になり始めたな」
「ああ。何より厄介なのはスレイブは出現した後でないと対策が取れない事だな」
「シュバルツめ、一体何を考えている?」
ナツキは差し出された報告書を受け取ると、毒づいた。
時空世界において、シュバルツの名は有名だった。
特に管理局員で知らぬものは…ほとんどいない。
だが、その広く知れ渡った名とは裏腹に組織の全容は愚か、構成員すらほとんど判別していない。
わかっているのはシュバルツはカルト集団だという事。
一般の人間の中に信奉者がおり組織からの指令、通称黒い手紙を受け取るまで善良な市民である事。
そして一度黒い手紙を受け取れば、指令の為なら喜んで死ぬ狂信者へと変わる事。
そして彼らが使うスレイブ「と呼ばれている兵器は旧時代の遺物である事。
それ位である。
「構成員で判明しているのはネゴシエーター(交渉人)のジョン・スミスのみ。さらにこの名もシュバルツのネゴシエーターのコードネームらしいしな」
「シュバルツが歴史に姿を現したのは数百年前のベルカ王朝の時代、この時代は世界の覇権を巡り争いが絶えない時代だった。当時は一国のお抱え部隊だった様だが…」
ナツキとクロノは思い思いに互いのシュバルツに関する知識を言葉にした。
もっとも、それはお互いに知っている内容でしかないが。
「何より一番不透明な部分は連中の目的だ。一体なにがしたいんだ?」
ナツキの言葉にクロノは肩をすくめた。
「さあな。様々な時空世界に現れては破壊の限りを尽くしている。それが管理局上層部の考えだ」
「なるほど。ではクロノ・ハラオウン提督の考えを聞こうか?管理局上層部と分けたという事はお前自身は違う見方をしているんだろう?」
「まあな。僕の見解では今行われているテロ行為はおそらくスレイブの性能を試す実験の様なものだと思う」
「根拠は?」
「ない。だが、あれほど兵器を造れる連中が無目的で行動するとは思えないし、毎度スレイブを使う必要もない」
「なるほど。だが、ただ自分達の力を誇示したいだけとも考えられるぞ」
「その可能性もありえるな」
「まあ、どちらにしろ我々はシュバルツを叩くだけだがな」
「まあな」
クロノはうなずくと通信回線を開いた。
「資料請求か?なら明日にしたらどうだ?もう遅いぞ」
「そうもいかないさ。あまりゆっくりしていると出遅れる事がある。相手がシュバルツならなおの事だ」

ーー時空管理局本部・無限書庫ーー

さて、先程眠れぬ人に時空航行艦艦長をあげたが、眠れぬという意味ではこの無限書庫を外してはいけないだろう。
なぜならこの無限書庫は、非常に”過酷”な部署だからだ。
「おい!あの件の資料どこにいった!?」
「知るか!こっちはこっちで忙しいんだ!!」
「司書長!大変です!!ヘルマンが倒れました!息をしていません!!」
「起きろおおおおおおおおおおおおお!!!!司書長の手を煩わせるな!!!!」
「っく!俺…今度の休暇…彼女に告白するんだ」
「なに死亡フラグたててんだああああああ!!!!」
「ああああああ!!!!司書長!!なんかもうみんなエキサイトしまくりです!!!!」
「おーい!また資料の請求が来たぞ!!!!」
「もう嫌だ!家に帰りたい!!」
「馬鹿野郎!!泣き言いうな!!」
とまあ、現在無限書庫はもう色々ととんでもない事になっていた。
たかがデータを管理するだけの無限書庫が何故これほど忙しい…いや、修羅場なのか疑問に思う方もいるだろう。
だが、ここは時空世界の治安を守る管理局のデータベースである。
そこにある資料の量は半端ではない。
それはもう半端なんてもんじゃない。
それはもう”無限”とはよくつけたと言いたくなるあるのだ。
もう星の数ほど。
大く長い円筒形無重力の部屋の壁という壁にびっしりと本が納まっている、それが無限書庫。
そしてなによりの恐ろしい事実はこの無限書庫、星の数ほどの資料や本がほんの十年前までほとんど整理されていなかったという事だ。
次元世界から集めに集めまくった膨大な資料を管理局はほとんど整理せず(出来なかった理由はあるのだろうが)何十年もほったらかし状態だったのだ。
一体誰が好きこのんでそんな所を整理しようなど考えるものか。
凶悪な犯罪者を追っている方がまだ楽である。
事実、十年経ってもこの資料の山(というか壁)を整理出来た量は半分にも満たない。
だがよく考えてほしい。
この星の数ほどの量の資料を半分まで後少しという所まで整理できたというだけでも凄いを通り越して奇跡と呼ぶに値すると思わないだろうか?
無論、この奇跡は今馬車馬の様に働く司書達の努力もあるのだが、最大の功績者はやはり、ここの司書長のユーノだろう。
他者よりはるかに優れた検索魔法と速読魔法、そしてなにより一度に数十冊の本を検索、速読、内容にあった本棚にしまう、というとんでも行為をやってのける彼の処理能力にあるだろう。
ちなみに普通の人間がユーノと同じ事をしようとすれば脳が壊れる。
元々彼の出身の部族、スクライア族は遺跡発掘を生業にしているいわば遺跡のプロ。
そしてこの時空世界にある遺跡は、必ずしも地球にあるようなものばかりとは限らない。
なかにはインディ・ジョーンズに出てくる様な危険な罠(無論魔法を使ったものもある)がある遺跡も少なくない。
その罠を見つけ、解除するのにこのスクライア族は特化しているのだ。
その罠を探る技術の粋を使ってユーノはこの無限書庫を整理しまくった(どう応用しているのかはわからない)。
もう涙が出るほど整理しまくった。
もらった権限をフルに使い、寝食を忘れ(そのせいでなのはに何度か怒られた。ただしなのは当人にも人の事は言えないが)私事を忘れそしてここまで来たのだ。
おかけで調べ物をするのに一個小隊を組んでまでしていた無限書庫での調べ物が随分と早くそして楽になったと様々な、特にロストロギアに関連の任務が多い部署から高い評価をユーノは受けている。
どんな能力や危険をもっているかわからないのがロストロギアだが、大抵は人が何かしら意図して作った物である。
様々な資料を集めたこの無限書庫には大抵のロストロギアの資料やデータがある為、そのロストロギアがどんな能力をもってどんな危険があってどう対処すれば良いのかある程度調べられるのだ。
予備知識があるかないかでは、任務の成功率が格段に上がるのは言うまでもない事である。
ロストロギアの他にも過去の犯罪者や歴史書などもある為、ロストロギア関連以外でもここは力を発揮する。
その為、この無限書庫は管理局にとって非常に重要視されているのだ。
ただ一つ、それ故に起きた問題もあるが。
そう、先の修羅場はその重要視から生まれたのだ。
もういろんな所からひっきりなしに資料請求が来るもんだからこの部署は忙しいたらありゃしない。
あまりに忙しいものだから倒れる人間さえいる程に。
人員さえいればなんとかなるのだろうが、残念ながらこの無限書庫の惨状は管理局ではけっこう有名だったりする。
命を懸けて任務に就く者なら管理局にはたくさんいる。
だが、流石に資料の捜索で命を落としたいと思う者はいないだろう。
いや、別に仕事のしすぎで命を落とした司書は今の所いないが…、それでも精神と体力を削っても出世にも手柄にも繋がらないので、誰もここに来たがらないのだ。
まあ、そんな無限書庫で今だ司書を止めぬこのここの人間はある意味精鋭と言えるが。
「………」
目の前の惨状を視界に入れつつユーノはただ検索魔法と速読魔法を駆使して請求された資料を作成するのに必要な本をかき集め、必要なくなれば元の本棚に返すという作業を延々と繰り返していた。
ホテル・アグスタから戻ってきてずっとこの調子である。
彼の今の疲労はティアナの自主トレの比ではないだろう。
「いいか!よく聞け!!司書長はオークションの出品物の解説に行き、しかもその間にここを開けていたの分の仕事をしているのだぞ!!そんな司書長に対して何度も休憩をはさんだ我々が音をあげてどうする!!!」
一人の司書が演説めいた事を言い出した。
その言葉に他の司書達は涙を流しながら黙って仕事を続けた。
つーか誰かユーノを止めろよ、マジで過労死するぞ。
ビー、ビー、ビー。
と、そこに何故か戦闘と関係ないはずの無限書庫に警報が鳴り響いた。
「「「「「「「「「「ーー!!」」」」」」」」」」
この警告音が指し示すのは一つしかなかった。
「ーー奴だ!奴が来た!!」
「C警報だ!!」
「俺…今日帰ったら彼女に…」
「だから死亡フラグをたてるなあああああああああああ!!!!!もしかしたら資料請求ではないかも…」
「馬鹿野郎!Cの奴が雑談する為に公用回線を使う訳ないだろう!」
「というか私用回線を使ったとこ自体見た事ないな…」
「っく…また残業か……」
「HAHAHAHA、既に残業決定しかけてるけどNE☆」
「司書長!無視しましょうよ…」
そう懇願する司書に対してユーノはため息混じりに、
「嫌…奴の通信なら無視する訳にもいかない…」
と言って回線を開いた。
ーーッピ。
「元気か、フェレットもどき」
そう言って通信画面に現れた”奴(C)”とはクロノだった。
ユーノのこの十年来の悪友は無限書庫に嫌がらせとしか思えない量の資料を請求してくるので司書達からは恐れられていた。
しかもどの資料も急を要する上に遅れれば人命に関わるものばかりだから始末が悪い。
ちなみにフェレットもどきとはユーノがフェレットみたいな生き物に変身できる事からきている。
「なんの用だ?こっちは司書が倒れそうな位忙しいんだ」
一番倒れてもおかしくないユーノはクロノに向かってそう言った。
その間も検索魔法等は休まず行使している。
『いや…シュバルツについてなにか新しい情報は見つからなかったかとだけ聞きたいんだ』
「それだけか?」
また山ほどの資料の請求が来ると身構えていたユーノは肩透かしを食らった気分だった。
『なんだ、資料請求が欲しいなら…』
「いるか!!シュバルツの資料はこの前送った分以外まだ見つかっていない!今忙しいんだ!!もういいな!!!!」
『苛立ているな。ちゃんと寝ているのか?』
「いたのか!ナツキ!?余計な御世話だ!!」
ゼーハー、ゼーハ、ゼーハー。
『大して叫んでないのにもう息が切れたのか…?本当に大丈夫か?』
「まあね…クロノに心配される日が来るとは思わなかったよ」
『どういう意味だ?まあいい。要件はそれだけだ。すまなかったな時間を取らせて。一応念の為と思って連絡を入れたんだがな』
クロノがそう言うと通信画面が切れた。
「………言葉通りの意味なのか…それともただの嫌がらせか…」
ユーノはつい先ほどまで悪友の顔が映っていた空間を見つめながらポツリと呟いた。
「たぶん両方だな」

ーースバルとティアナの部屋ーー

ピピピピピピピピピピピ。
「ティア~、起きてよティア~、四時だよ~」
「う~ん…」
「早く起きないと…胸を揉むげふ!?」
何かを揉む仕草をしたスバルは突然のティアナのアッパーに倒れた。
「う~ん…おはよ~、あれ?なにしてんのよ、アンタ」
床に倒れたスバルをティアナは不思議そうに眺めた。
「む…無意識だったのか…流石…ティア……がく」
「はあ?」
何の事かわからないティアナは何言ってんだこいつ的な顔をしたが、すぐに着替えを始めた。
「……って、なにしてんのよアンタ」
自分と同じく着替えを始めるスバルにティアナは質問した。
答えはある程度予想しているが。
「あたしも訓練する」
「駄目よ。アンタの方が訓練きついんだから、あたしに付き合ったらまともに眠れなくなるわよ」
「大丈夫だって。あたしが日常行動だけなら4、5日眠れなくても大丈夫だって知ってるでしょ?」
「日常行動じゃないでしょうが。無理せず寝てなさい」
「や~だよ。ティア、あたしはティアのパートナーだよ。だから一緒に頑張るの」
その言葉にティアナはため息を吐いた。
「わかったわよ。確かに二人でやった方が効率はいいしね」
「やった!」
「でも、無理はしないでよ。ていうか…アンタさっき気絶しなかった?」
「いや~あれはノリで、NE☆」
頭をかきながらそう言うスバルにティアナは再びため息を吐いた。
二人は外に出ると向かい合った。
ちなみにバリアジャケットはまとっていない。
どうでも良い事だが。
「あれ?何時もなら場面が変わるとーー”場所名”ーーって、なるのに今回はならないね」
「めんどくさくなったんでしょ」
悪かったな。
「悪いわ」
「そんな本編と関係ない事よりティア。聞かせて、ティアの考え」
「ああうん。やっぱり急に強くなるなんて無理。だから個々のバリエーションを増やす事を考えたの。そうすればコンビネーションの幅も広がるはず。でもこれ結構ハードになるわよ?」
「大丈夫だって、あたし達ならやれるって☆」
「その☆、今度出したらぶっ飛ばすわよ」
かくしてスバルとティアナの特訓が始まった。
なのはの教導をちゃんと受け、教導がない時間は特訓に費やした。
そんなこんなで数日の時が流れた。

ーー機動六課・食堂ーー

「あ。復活した」
やかましい。
「ま、いっか」
鍋の中身をかき混ぜながら舞衣はそう呟いた。
「~♪」
「ご機嫌ですね~舞衣さん」
調理室の入り口からはやてが覗き込んでいた。
「あ、はやてちゃん。いらっしゃい」
「いや~こうして調理室入るとまた料理をしたなるな~」
はやてはかつて一人暮らしだった時期がある。
その為、料理をひとりでに覚え、さらにシグナム達ヴォルケンリッターが家族になってからその腕を上げつづけた。
「いや…部隊長自ら料理ってどうなのよ」
「いやいや。普段がんばっとる皆に料理を振る舞う優しい上司って素敵や思いません?」
「まあ、思うけど」
舞衣はそう答えると、再び鍋の中身をかき混ぜる作業に入った。
いや、会話中ずっと混ぜていたが。
「そういえば、明日なのはちゃん新人達と訓練の一環で模擬戦するんだって?」
「ええ。張り切ってるみたいですよ」
「ふ~ん。模擬戦か…懐かしいな…昔はよくなのはちゃんとしたわね~」
「あははははは。そんでよく訓練室を壊してクロノ君やリンディ提督に怒られてましたね」
「っぐ!………いやな事を思い出した…」
「あははははは。そういえば舞衣さん、このまま料理人続けるんですか?それともまた武装隊に戻るんですか?」
はやての言葉に舞衣は腕を組んで、
「う~ん。どうしようかな~、でもあたしの作った料理を美味しそうに食べるあの子達を見ているとこのまま続けようかな…なんて思うし…」
と悩んだ。
「でももったいない気が…オーバーSの魔力を持った人間が料理作るのに人生を捧げるなんて」
「う~ん。でも調理師やってるから六課に入れたてのもあるし…」
「確かに…舞衣さんが普通に局員として入っとたらあたしらの魔力はもっと下がっとたって事に…」
「でもここ2・3年まともに魔法使ってないからな~」
「今使ってますやん」
そう言ってはやては鍋の下を指差した。
鍋はコンロの上ではなく流し台の上にあった。
では何故流し台の上で鍋に火が通っているのか?その答えははやての指の先にあった。
鍋の下には三つの勾玉が均等な位置についたリングがあった。
勾玉から炎が出ており、これが鍋の中身を温めていたのだ。
この炎を出しながら高速回転をするリングは舞衣のデバイスのカグツチである。
ちなみに詳細は不明。
額に絆創膏のはられた真っ白な羽の生えた猫の様な姿になる事もある。
現在は六課の光熱費を浮かす為にコンロの代わりとして活躍している。
「いや…まあ、炎の微調整の訓練には…なるの!?」
「さあ…あたしに聞かれましても…よかったら、訓練室を自由に使える様にしましょうか?」
ノリツッコミに微妙をしている舞衣に、頬をかきながらはやては言った。
「いいの?」
「なのはちゃん達の訓練の邪魔にさえならなければ」
「う~ん。そうね…万が一実戦に出て身体が鈍ってたからやられましたじゃ洒落にならないし」
舞衣とはやてがそんな会話をしている頃、スバルとティアナ、略してスバティアが特訓をしていた。
その様子を木の陰から覗く者がいた。
「なんか…その説明だと俺が変質者みたいだな…」
ヴァイス陸曹…語り手の言葉に反応しないでください。
「へいへい。ところで、一つ聞いていいかい?」
なんでしょう?
「いつもは場面が変わるとーー”場所名”ーーてなるのになんで今回とこの前はならなかったんで?」
だってあの二人がいる場所が外って事以外よくわかんないんだもん。
「………あっそ」
ヴァイスはそう言うと視線を再び二人に戻した。
「ーーん?」
その時、ヴァイスは彼女達を見ているのが自分だけでない事に気付いた。
「……ありゃ、ニナ・ウォンか?」
二人からは見えない位置にいるのだが、二人からそれなりに距離のあるヴァイスからは木に背中を預けて二人を横目で見るニナの姿がよく見えた。

ーー数時間後・スバルとティアナの部屋ーー

「はあ…」
ティアナは椅子に座ると疲れからため息が出た。
『お疲れ様です』
カード状態のクロスミラージュが言葉を掛けた。
「ありがとう。悪いわねアンタにも無理をさせて」
『問題有りません』
「明日の模擬戦が終わったらメンテナンスに出すわ」
『ありがとうございます』
カードの中心にある丸で囲われた×の隙間の部分をチカチカ点滅させながら答えるクロスミラージュ。
プシュー。
「ティア~ただいま~」
アリカの所にいたスバルが帰って来た。
「いよいよ明日だね。なのはさんとの模擬戦」
「そうね」
「がんばって特訓の成果をなのはさんに見せよう!」
「………ねえ、スバル…」
「ん?なあに?」
どこかためらう様なティアナの言葉にスバルは相変わらずの能天気な声で答えた。
「…いいの?ある意味アンタの憧れのなのはさんを裏切る事になるのよ?」
「大丈夫だって!なのはさんだもん!きっと結果を出せば笑って許してくれるよ!」
スバルのどこまでも明るい口調にティアナは悩むのが馬鹿らしくなった。
「そうね…そうよね。さ、明日は早いんだし、寝ちゃいましょう」
「うん」
そして翌日。

ーー訓練室ーー

「わたしとヴィータ副隊長が交替で模擬戦の相手をするね。まずはわたしが相手でスバルとティアナから」
「「はい!」」
呼ばれて位置につこうと歩き出す二人。
なのはは一足先に位置についている。
「スバルちゃん。がんばって!」
「うん!勝てるかどうかわかんないけど…精一杯頑張るよ!」
アリカの声援に答えるスバル。
「あの二人、どこまで行けるかな…」
「さあ?でも勝つのは無理でしょ」
「でも二人共凄く頑張ってましたからきっと行けますよ…勝つのは流石に無理でしょうけど」
「きっとなのはさんに一撃を入れれるんじゃあないかと…勝つのは無理でしょうけど…」
「まあ、勝つのは無理だろうな」
「って、皆そろって勝つのは無理って言わない!!無理だ出来ないって言ってたらどんな事も出来ないってばっちゃも言ってたし!!」
エルス、トモエ、エリオ、キャロ、ヴィータ、アリカのそれぞれ思い思いに喋った。
「ニナちゃん?」
ニナだけが会話に全く加わろうとしない事にエルスは不思議に思った。
「どうしたの?」
「別に…」
と、そこにフェイトと舞衣がやって来た。
「遅れてごめん。わたしも訓練を手伝おうと思って…」
「「フェイトさん!!」」
普段は執務官としての仕事が忙しい為、中々新人達の訓練に参加出来ないフェイト。
その為、珍しく空いた時間を新人の訓練に使おうと考えたのだ。
「って、フェイトはともかくなんで舞衣がいんだよ?」
「ん?暇だったから見学」
「あっそ…」
「でもなのは、この模擬戦を凄く楽しみにしてたみたいだよ」
「「へえ」」
フェイトの言葉にそう返す舞衣とヴィータ。
「昨日も遅くまで凄く熱心にいろいろチェックしてたし…わたしが話し掛けても上の空な具合に…」
言葉の後半、フェイトの身体に横線が入った。
「あっそ」
「ドンマイ」
興味なく答えるヴィータ。
フェイトの肩に手を置いて励ます舞衣。
と、そうこうしている内に模擬戦の状況が動いた。
「やあああああああああああ!!!」
スバルがウィングロードでなのはに向かって突撃をしたのだ。
「ーー?」
その様子に違和感を感じる舞衣。
フェイトも同様だった。
戦っている本人であるなのはは、違和感どころではなかった。
(フェイクじゃない!?)
ティアナの得意な幻術系魔法、フェイクシルエットかと最初は思ったのだが、今自分に突撃してくるのは本物のスバルと気づき驚愕するなのは。
その事実にヴィータも気づいた。
「あれ本物だぞ!」
「「「「ええ!?」」」」
ヴィータの声に驚きの声があがる。
ほとんどの者がアレは幻術でそれを囮に次の手を打つと思っていたからだ。
(ーーおかしい。なのはちゃんやヴィータが教えたにしては動きが特攻じみてる…)
そう考えた舞衣は、レーザーポインターの光がなのはの顔に当たっているのが事に気づいた。
なのはも含めた他の一同も気づき、光の出所を見る。
そこに少しーーいや、かなり離れたビルの屋上でクロスミラージュを構えたティアナの姿があった。
「ーーえ!?」
「ティアナが、砲撃!?」
驚くフェイトとヴィータ。
新人組もニナを除いて驚いた。
「ティアナちゃんって、今ミドルレンジの訓練しかしてないって…」
「ああ…」
聞いていた内容と全く違う事実に驚く舞衣の言葉に答えるヴィータ。
訓練を担当していた彼女の方が、舞衣以上に驚いていたが、一番驚いているのはなのはだった。
自分の教えてきた事と全く違う動きをする二人に驚きと戸惑い、そして…
ガキン!
「ーーっ!」
スバルの重い一撃をシールドで止めるなのは。
「って、あのまま砲撃なんてしたら、スバル巻き込むぞ!!」
「いえ…」
ヴィータの言葉にニナは静かに否定した。
彼女だけ、他とは違う所を見ていた。
なのはの周りに縦横無尽というほどではないが、そう表現したくなる様に展開されたウィングロード。
そのなのはの背後にある天に向かって延びたその道を…。
そこには、ウィングロードを駆けるティアナの姿があった。
それと同時に消えるビルの上のティアナ。
「「「フェイク!?」」」
ティアナを見失う一同、彼女の位置に気づいているのは現時点では本人とスバルとニナだけだった。
「ティア!」
スバルの掛け声にティアナの居場所に気づく一同、だがその時にはティアナは一気に上がり一気に下がる様な形のウィングロードを蹴っていた。
(これが…今のあたし達に出来る最良の策!執務官を目指す為に考えていたダガーモード!!これでなのはさんを倒せるとは思えないけど一撃くらい入れられるはず!)
「一撃必殺!ダガーブレード!!」
自分の教えてきた事と全く違う動きをする二人に驚きと戸惑い、そして…怒りを感じた。
「レイジングハート、モードリリース」
静かにそう言う主の言葉に従い待機状態となるレイジンハート。
そしてなのはは、空いた腕でティアナの刃を…掴んだ。
「「ーー!!」」
「おかしいな…二人共、訓練の時と全然違うじゃない」
驚く二人を余所のなのはは静かに語り出した。
魔力の刃を掴んだその手から、血を流しながら。
「訓練の時だけ言う事を聞いていざ実践に立ったら全然言う事を聞かない、そんな訓練…意味…あるのかな?わたしの言ってる事…間違ってる?」
「ぁぁぁぁ…」
なのはの言葉と直接手で刃を止めた事による出血で、戦意を喪失するスバル。
だが、ティアナは喪失するどころか…。
「だああああああああ!!!!」
魔力刃を解除してなのはから離れ、そのまま魔力弾を撃とうとしたのだ。
スバルを巻き込む事も考えず、最早自分でも何をしているのかわかっていないのかもそれない。
だが、なのはがそれを許さなかった。
ズドン。
彼女の放ったシュータがティアナを直撃し、吹っ飛ばした。
ティアナの身体は別の地点に展開されていたウィングロードに落ちた。
「ティア!--!?バインド!!」
ティアナの元に駆け寄ろうとしたスバルの身体に桜色のロープ状のものが巻かれた。
「動かないで」
バインド自体は身体を縛るタイプのもので、マッハキャリバーの履いているスバルは動けない訳ではなかったが、なのはのその一言が、彼女の動きを止めた。
「っく…」
一方のティアナは、
「わたし…は…つよ…くなりたいんです…誰も傷つけたくないから!失いたくないから!!ファントム…」
「少し…頭、冷やそうか…」
ズドオン。
クロスミラージュを構えまだ攻撃をしようというティアナを、なのはの一撃が飲み込んだ。
「ティアあああああああああああああああああ!!!!」
「今日は二人共撃墜されて終わり」
そう言うなのはをスバルはキッと睨んだ。
「なのはちゃん…」
「なのは…」
その光景を舞衣とフェイトは辛そうに見ていた。

次回予告
ティアナ「あたしは証明するんだ!凄い魔力がなくたって特別な才能がなくたって一流の魔導師になれる事を!!」
ニナ「貴女がどうしようと勝手だけど、それが貴女のお兄さんの目指した事なの?」
ティアナ「五月蝿い!天才で、しかも親の七光りを浴びてるアンタなんかにわかる訳ないわ!!」
ニナ「ーーっ!言ったわね?」
舞衣「まあ、二人共落ち着いて、そうだわ。ここは模擬戦しましょう」
ティアナ「わかりました」
ニナ「やらせてください」
舞衣「次回、ニナVSティアナ。ぶつかり合って、初めてわかりあえる事もある」

あとがき
今回の予告はまともにしてみました。
しかし、無限書庫の説明であそこまで文字をくうとは…。
そういえば作中で書くの忘れてましたけど、舞衣の年齢は25でなのはより年上です。
さて、エリオとキャロとエルスとトモエ誰かがのメインの話はいつ書こう…少なくともヴィヴィオが出た後になりそう。
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