夜。
車が行き交う道路の上に掛かった歩道橋にさやかと杏子はいた。
「来たね」
「来たねじゃねえよ!てめえ!人のどたまに風穴開ける気かごらあ!」
やってきた杏子は当然ながらご立腹だった。
「あー、確かに頭を狙ったのは不味かったかなーと、うん。さやかちゃん反省」
さやか当人は真面目に言っているつもりなのだが、杏子には当然ながらそう思えなかった。
というか、書いているわたしもそう思えない。
「そうかい。じゃあ死にな!!」
そう言って変身する杏子。
「ふ、返り討ちにしてやるわ!」
一体その自身はどこからくるんだ?そう思うギャラリー(リョウ、仁美、九尾)だった。
「さやかちゃん!」
と、そこにまどかが猫ほむら、ユウ、マミと一緒に走ってきた。
「まどか!?…邪魔しないで!これはあたしの戦いなんだから!」
「やめてよ!こんなの絶対おかしいよ!」
「そうだぞ!またフルボコだぞ!」
「ユウ君、あなた説得する気ないでしょ…」
ユウの言葉に若干こめかみを引きつらせるが、さやかは無視してソウルジェムを取り出す。
「ーーっ!さやかちゃん、ごめん!」
まどかはそう言うとさやかのソウルジェムを奪い取り、そのまま橋の下に向かって投げた。
「あ」
ソウルジェムはそのまま丁度タイミングよくトラックの荷台に乗ってしまった。
「まどか!あんたなんて事を!」
「そうだぞまどっち!もしオリジナルと同じ設定だったらさやかは死んでたぞ!」
「「オリジナル言うな!」」
リョウのメタ発言にツッコミを入れるユウとマミ。
「あー、これで魔法は使えないね」
「く!」
どうしたもんかという様子の杏子の言葉にさやかは悔しそうに呻く。
「しかし、これでさやかの魔法少女としての未来は潰えたな」
「ん?」
リョウの発言に何か気になるものを感じたユウ。
「未来…。そうか」
リョウの発言にさやかは何かに気づいた様子でふっと笑う。
「未来ならもう掴んでいる」
そう言いながら右手を天に向けるさやか。
「「『まさか!?』」」
その様子に何かに気づくユウ、リョウ、九尾。
「そしてこれからも、掴み続ける!」
さやかがそう言った瞬間、彼女の掲げた手にソウルジェムが時空を越えて出現した。
「「「「「ええーー!!?」」」」」
驚く男子以外のメンバー。
「変身!」
変身したさやかはそのまま杏子に斬り掛かる。
「ちっ!」
迎え撃つ杏子。
その様子を呆然と眺めるまどかの肩にユウの手がポンと置かれた。
しばらく戦闘を続ける二人。
(こいつ!)
杏子は前回と動きの違うさやかに驚く。
前回は力任せだったさやかだが、今回は杏子の攻撃をとにかく弾く事に重点を置いたのだ。
「なるほど。無理に攻めずにとにかく相手の攻撃を防ぐ事に重点を置いた訳か」
『伸びたり、鎖状に分裂したりすると言っても槍である事には変わらないコン。最大の威力を発揮するには突くしかないコン。そしてその最大の攻撃が来た時に側面を叩けば機動はずれるコン』
「しかもマイシスターの防御力と回復力は魔法少女一だ。突き以外で戦闘不能に落とすのは難しい!」
「でも防御に徹していても、いつか押し切られませんか?」
リョウと九尾の分析に疑問の声を投げかける仁美。
「確かにな。だがマイシスターにはきっと何か策があるに決まっているじゃないか!」
リョウの言葉にさやかの動きが一瞬ピタッと止まる。
そしてだらだらと脂汗を流す。
「しまった…決め手考えるの忘れてた」
ちゅどおおおおおおおおおおおん。
さやかの言葉に盛大に吹っ飛ぶギャラリー。
「てへ☆」
可愛く舌を出すさやかに杏子は呆れた様子で、
「あんた…馬鹿だろ」
とはっきりと言った。
「なんだと!馬鹿じゃないぞ!!」
「馬鹿ね」
「馬鹿ですね」
『大馬鹿ね』
「馬鹿だ。間違いなく」
『馬鹿コンね』
「あっはっはっはっ。もう馬鹿と言うしかないじゃないか!!」
「みんな酷いよ!さやかちゃんは馬鹿じゃなくて、考えが足りないだけだよ」
「ごめんまどか。あんたのが一番傷付いた」
「………なんだかな~」
まどか達の妙な雰囲気にペースを乱された杏子はどうしたものかと頭を悩ます。
と、その時。
「危ねえ!」
と、叫んでさやかを突き飛ばす。
ちゅどどどどどどどどどどどどどん。
その一瞬後にさやかと杏子がいた場所に魔力弾が降り注いだ。
「なんだ!?」
「あ、あれ!」
まどかが指差した先に、ボロボロのレディバググリーフがいた。
「「「「「「「『『…………なんですでにボロボロ?』』」」」」」」」
疑問に思う一同だった。
「って、なんだあの怪物は!?」
『かくかくしかじかコンよ』
「なるほど」
『通じたコン!?』
「お前が驚いちゃ駄目じゃないか!!」
「なんにしても敵って事は確かだ」
「ちょっと…いい加減どいて欲しいんだけど…」
グリーフモンスターを睨む杏子の下でさやかが苦情を言う。
「あ、悪いな」
そう言って杏子はさやかの上から退く。
「さて、敵が出たなら戦うしかないじゃないか!」
リョウはそう言うと九尾の頭をガシッと掴む。
『コーン、もう少し優しく掴んで欲しいコン。HENSHIN』
「ちょっ、先に言うなよ!変身!」
毎度お馴染みの装甲に包まれるリョウ。
「よっしゃあ!俺、さん」
横手から現れたメタルグリーフに殴り飛ばされた。
「二体目!?」
「ちょっ!リョウ!?」
「退場はや!」
橋の下に落ちたリョウは道路を疾走してきた一台のバイクに跳ね飛ばされて戻ってきた。
「あべし!?」
「すげえ戻り方だな、おい」
「しかもいつの間にか結界の中だし!?」
気がつくと、周りの風景が変わっていた。
毎度の事ながらすげえ急展開だな。
と、そんな事を思うユウだった。
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